「場所の記憶」を引き出す方法としてサトウアヤコさんが開発した「日常記憶地図」の長野編。 長野県立美術館の展示の一環として、長野市内の1950年代から2000年代を知る9人の記憶を聞き、その展示を見た人々から集まった《あなたの場所の記憶》、人々の記憶や郷土資料から浮かび上がってくる池田満寿夫や横井弘三ら「長野を歩いた人たち」の記録、そして制作プロセスやサトウさん自身がプロジェクトを通して考えたこと、県立美術館の前身で2017年に取り壊された長野県信濃美術館の記憶を写真家の篠田優、学芸員の松井正が振り返ったテキストなどを収めます。 善光寺や城山公園、権堂の商店街、数々の映画館や本屋、そして画材屋など、他の地域に比べると比較的小さな街だからこそ時代や世代を超えて共通に記憶される場所があり、同じ場所を歩いたかつての無数の誰かと時を違えて出会いやすい街だということが浮かびあがります。膨大な資料にあたったうえで丹念な取材と高い解像度で街/場所の記憶に向き合うサトウさんの「日常記憶地図」だからこそ描きだされた、長野市の70年の記憶。地域似顔絵師 yana さんが描く「長野俯瞰地図」大判カード付もお選びいただけます。