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五月の窓辺に、はかなくながれていく雲と、つややかな緑と、きよらかな歌声があって、もう、自分のためにのぞむことは、何もないように思えた。
書物と言葉、読むことと書くことへの尽きない興味から、ご自身のレーベル「ヒロイヨミ社」としても出版活動をおこなうブックデザイナーの山元伸子さんによる日々の読書録としての断片的日記集。三月にはじまり三月におわる「ある日」の文章には、カフカやベンヤミン、ブランショ、タブッキ、ゼーバルト、須賀敦子や立原道造、黒田夏子、市村弘正など都度読みすすめられた本からの引用と、それらと分かちがたくあるその日の断片が並べおかれています。読むことが不意に日々にもたらす膨らみとその豊かさを思わせ、たとえばアメリカの詩人メイ・サートンの日記における自然やわたしを取りまくものとリンクしながら展開される感情や記憶の記述なども連想させるような、詩的な一冊。めぐる季節を思わせるような四種の本文紙、やわらかく造形的なカバーアートなど、手に持つことのできる本の魅力を存分に感じさせるようなデザインも素敵です。読むことと書くことの合間に。