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写真家・林佑紀による第一写真集。数年の歳月を費やし、日々、自宅近辺を散歩しながら撮影したという複数のイメージを収めます。たとえば、自宅の玄関を出た瞬間、美しく光る水たまりや木漏れ日が目をかすめたその時に動く情緒の煌めきや揺蕩い。ありふれた風景のなかで誰もが無意識下に感じたことのある、しかし言語化や定着化を拒むようなある種の体験や感覚、世界と私のあいだで起こる詩的体験を想起/予兆させるようなイメージ。ほんらい抽象画や詩作によってその描写が試みられる「確かな不確かさ」に、現実の複写としての写真を通して触れようとすること。意味や用途以前の音や色、闇と光が織りなす像がはたらきかけるもの。シネマティックな横長の写真集を、様々な線が走るクールなスリーブケースに収めたブックデザインも美しい。200部限定。
※【4/23-5/11】林佑紀 写真展「O」余波舎 / NAGORO BOOKS実店舗にて開催