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「海の色はなんていったらいいのか、ヒスイみたいな色で、それがずっと先までつづいていた。遠くのほうにサーファーがぷかぷか浮いているのが豆つぶみたいに小さく見える。陽ざしは強いけど、風があるから、パラソルの下にいると涼しいぐらいだ。Tシャツの上からスウェットを着て、海はいつまでも見ていられた。」
長野在住の著者によるリトルプレス小説。インドネシアのロンボク島に、何もしない時間を過ごすために滞在した日々と、そこで見たものや起こったことから連想/回想される小さないくつもの記憶とシーン、エピソードと意識の流れの軌跡。回想を経ながら繰り返しかえってくる島の空気の緩やかさがそのままに文体となってあらわれ、何でもないこと(例えばそれはロイヤルホストのパンケーキ)を思い出すことこそが、時を重ねること、今ここにいること、本を読むことの豊かさだと知る、終わりなきおしゃべりのような紀行小説。