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こうして繰り返すこと、反復すること、滞留すること、倦むこと。それが営みであり、生活であると思っている。(あとがきより)
横浜の老舗ジャズ喫茶「ダウンビート」の三代目マスターとして、日々レコードを選び店頭に立つ吉久修平さんによるパリとローマへの旅の紀行文と、自身の偏愛する5冊の本を紹介する対話からなる一冊。フランスからの旅人と京都のジャズスポットで再会し、パリで落ち合うことを約束するところからはじまる旅は、アニエス・ヴァルダ『ダゲール街の人々』の舞台でもあるパリ南部や北端のライブハウスから、荷風の掌編に描かれるリヨン、ヴェイユにみちびかれ訪れるアッシジ、ユルスナールが書くハドリアヌス帝の言葉に再会するヴィッラ・アドリアーナまで、音楽と文学に誘われた旅程をたどります。ヴェイユ、荷風、ユルスナールに加え、川上未映子、朝吹真理子の小説への偏愛を語る後半の対話からは、それぞれの作品の魅力とともに「存在」や「他者」をめぐる吉久さんの文学観や人生観が浮かび上がります。ジャズ、読書、喫茶、街、そして旅。繰り返すこと、束の間の平和。語り口は軽やかでありながら、本を読み旅に出て考えを巡らせることの豊かさを感じさせる本。